育メンパパの秘密道具

入学前の子供と一緒に遊べる秘密の遊び道具を、小説形式で紹介します

【第2話】ソフトソーサー

柔らかいものは全てに好まれる。

幼児やご老人には柔らかく食べやすいものが優しいとされるし、くつろぐ時に側に置いてあるクッションやソファはとても柔らかい。赤ちゃんのほっぺたもモチモチしていて触りたくなる。

子供と遊ぶときも、我々オトナは柔らかい遊び道具を好んでいる。理由は簡単で、怪我をする心配がないからだ。ゆえに、硬球の玉を使う代わりに軟式の玉を使って競技を行う、野球やテニスが登場するのだ。

今日は夏も終わりかけの土曜日。晴れてはいるが真夏のような暑さは感じられない。日陰に入れば、半袖が少し肌寒くなる程度だ。絶好の公園日和だと言うことで、スタミナ満点の長男『ハル』と、幼稚園で覚えた歌を適当な歌詞で歌う次男『トモ』を連れて、近所の公園に来ていた。

滑り台を何回も滑るハルに対して、3歳になっても未だに滑り台を怖がるトモ。仕方なくフランコに乗せて後ろから押してやるが、2、3回押したところでトモから必死のストップがかかった。角度で言えば10度ほどしか動いていない。

遊具を遊び尽くした子供らに、パパはこのタイミングを待っていたとばかりにポシェットから一つの遊び道具を取り出した。
ソフトソーサーである。柔らかいので二つ折りにして仕舞っていた。非常に収納性が高い優れものである。
ちなみにソーサーとは、フリスビーのことだ。

投げ方をハルとトモに教え、実際に投げさせてみる。
「わー、飛んだー!」5歳のハルはあっという間に投げ方を覚え、飛ばしては拾い飛ばしては拾いを繰り返す。そんなに遠くなければパパの投げたソーサーをキャッチ出来るようにもなってい。

対してトモは投げ方を覚えられず、どうしても外側から内側に向けて投げようとする。腕を曲げて、ピンと伸ばしたときに投げるんだよ、と教えても上手く投げれず、終いには「やらない!」と不貞腐れてしまった。運動に関しては次男はポンコツである。いや、親が可愛い子供に対してポンコツなどと口が裂けても言ってはいけない

さて、ポン……、かわいい次男も遊べる遊びが何か無いかを考える必要がある。ここは比較的広い公園で、なおかつ今日は遊びに来ている子供が少ないので、割と広く使うことが出来そうだ。
動くのが大好きな兄も含めて、兄弟二人がどうしたら仲良く遊ぶことが出来るか。公園を何気なく見渡していると、ドッヂボールをしている小学生たちがいた。

コレだ! と閃いたのが「フリスビー鬼ごっこ」だ。

ルールは簡単。鬼となっているパパが投げるソーサーを避け続ければ良いのだ。当たってしまったら負けである。もちろんキャッチできればセーフである。逃げる方は、ただ逃げるだけではない。鬼が投げたソーサーを拾うかキャッチしたあとに、鬼に3回当てなければならない。

この遊びであれば、3歳のトモはただ逃げるだけで良いし、ハルの方はパパになんとかソーサーを当てようと頑張るだろう。

想像通り、二人は一生懸命逃げ回り、ソーサーを拾ってはパパに投げつけてきた。もちろん、ハルが投げるときは全力で避け、トモが投げるときはたまに当たってあげるサービスつきだ。

走り回り、疲れた後はソーサーをお皿にしておままごとをやる兄弟であった。


ボーネルンド ソフトソーサー 青、緑、オレンジ、赤、紫、黄 フリスビー

【第1話】ソフトサッカーボール

今日も我が家は騒がしい朝を迎えていた。
一階から聞こえる喧騒に起こされ、深いため息をついて時計を眺め見る。時計の針は8時近くを指していた。

寝ぼけながら階段を降りてリビングに顔を出した瞬間、
「パパー! 早く遊ぼう!」
と言って走りながら抱きついてくるイノシシ、否、うちの長男の『ハル』。キラキラを輝く瞳の奥に、今日はどんなことをして遊ぼうかと期待が込められている。

その後ろからノロノロと後をつけてきて、
「パパー。ハルがねぇ、ボクの背中叩いたんだよー!」
と不服そう顔つきで、ハルを叱ってくれアピールを身体中で表現しているちびっ子が、次男『トモ』。ハルに対して「叩いちゃだめなんだよー!」、と注意を数回投げかけているが、長男には完全に無視されている。

二人に対して、頭をポンポンと触れて無言で応答し、そのまま食卓に向かうと、既に朝ごはんが用意されていた。
スマートフォンの通知ランプが点灯していたので、画面ロックを解除する。ママからのメッセージが届いていた。

『今日は朝からアポが入ったので午前中は仕事に行ってきまーす。お昼には戻るから、それまで子どもたちをヨロシクね』
メッセージの後には、うさぎのキャラクターがすたたたっと駆け出すスタンプが付け足されている。

子どもたちをヨロシク、というのは、つまり子供たちの面倒を見ていてね、と言うことだ。
「パーパ! 早く遊ぼうよー」
ハルの要求は全くブレない。発言は一貫しているものの、落ち着きがなく、先程から部屋の周りをグルグル走り回っている。

今日は外で遊ばせるか、と思ってカーテンを開ける。目に入ったのは生憎の雨模様。
部屋の中で遊ばせるしかないか。

顔を洗って着替えを済ませた後、朝ごはんを食べるために食卓の椅子に腰掛けた。
はてさて、今日は何をして遊んであげようか。
改めて子供たちを眺め見ると、ハルは相変わらず走り回り、トモはハルの後ろを追いかけている。
追いかけっこをしているようだ。朝からスタミナが溢れているようだが、外で遊ぶことができない。

何かよい遊び道具はないか、朝食のパンをかじりながら部屋を見渡していると、あるものが目に入った。
今日はアレで遊ばせるか。

部屋が散らかっていたため、子どもたちにおもちゃの片付けを指示した。最初は不服そうな表情を見せていたが、部屋で一緒に遊ぶ事を伝えると、追いかけっこを止めて二人で片付けを始めた。

家のリビングは14畳ほどの大きさで、細長い作りとなっている。テレビとソファがそれぞれ長い方の面に対面に設置されている。キッチンに面する短い方の壁近くにダイニングテーブルを配置している。

朝食を食べ終わった、ダイニングテーブルを長い面の方へ寄せた。すると、リビングの端から端まで10メートル近い長さを確保出来る。今日のプレイフィールドだ。

子どもたちの片付けを一通り確認し、部屋の片隅にあったボールを手にした。サッカーボールだ。黄色と黒でカラーリングされた、室内でも屋外でも使える柔らかサッカーボールである。

「このソフトサッカーボールを使ってゲームをしよう」
ルールは簡単だ。
部屋の端っこにゴール代わりの印を置いて、そこにゴールを決めたらポイントゲット。
先に10ポイント取ったほうが勝ちである。
さらには真ん中の線を越えてはならないというルールも追加した。子供は自分のペースでボールを蹴りたいのでパパは邪魔せず、ゴールを守るのみである。

パパ対子供二人のキックオフがリビングで始まった。

ハルの強烈なキックをなんとか跳ね返すものの、スピードのあるシュートで何点か決められてしまう。たまにハルがトモにボール渡してあげて蹴らせてあげる、ちょっとお兄ちゃんぽい一面を見せていた。

ちなみに5歳と3歳では蹴る力に差が出てしまう。
5歳のキック力は、普通のサッカーボールを凶器に変えるくらいの力を持っているし、3歳の子供が普通のサッカーボールを蹴ると、ボールが硬いせいで思いっきり蹴ることが出来ない。さらには足を痛めてしまう恐れもある。

その点では、このソフトサッカーボールはポリウレタンで出来ているため柔らかく、足を痛める心配がない。さらにはちょうど良いくらいの重さがあるため、5歳の子が蹴っても部屋の上の方へ飛んでいくこともない。

部屋の中でサッカーをしたいという場合は重宝するアイテムである。

「す~ぱ〜、みらくるしゅーと!」

トモの必殺技シュートを止められないフリをするのも、育メンパパの役割なのである。



エバニュー(Evernew) ソフトサッカーボール PU20​​カスカワ野球楽天市場店

登場人物

【登場人物】

パパ:35歳のソフトウェア開発者。
   平日はほとんど子供と会う時間がないため、
   土日は子供と遊ぶ事を大事にしている。

ママ:33歳の保険の営業職。
   平日は家事と仕事を両立させ、子供の世話まで行う
   スーパーウーマンだが、土日は仕事になることが多く、
   子供をパパに任せることが多い。

ハル:5歳児で運動が大好きな男の子。
   常に部屋を駆け回っていて、落ち着きがない。

トモ:3歳児でハルの弟。
   最近ゲームにハマりだしたもやしっ子。 


※書いているお話は"ほぼ"ノンフィクションですが、一部フィクションです。