育メンパパの秘密道具

入学前の子供と一緒に遊べる秘密の遊び道具を、小説形式で紹介します

【第3話】スーパーワブルボール

コバルトブルーの大空に飛行機雲が細長く伸びている。公園の木々は青々と生い茂り、夏の訪れを感じさせる初夏のひととき。

我が家のパワフル長男『ハル』と、抱っこしてほしいために赤ちゃんのモノマネをし始めた次男『トモ』と一緒に公園に来ていた。

 

家の近くにある小さな公園である。住宅街の一角にあり、少し入り組んだ道の先にあることから、利用する者は近所の住人だけである。そのためあまり混んでいない穴場スポットなのだ。

遊具は滑り台と鉄棒しかないが、最近作られた新しい公園である。子供を見守る親のために用意されたのか、ベンチも2つほど設置されている。

 

アクティブ少年のハルは、鉄棒で逆上がりをしている。5歳なのによくやれるなと、自分の子供ながら感心してしまう。自分が逆上がり出来たのはおそらく小学生になってからだろう。 

それに対して3歳のトモは鉄棒にぶら下がるのみである。「パパー! ボクも逆上がりしたい!」と言ってきたのでサポートしてあげたが、鉄棒がお腹に食い込むのが嫌だったのか一回で止めてしまった。

「パパー、なんかして遊ぼう!」

ハルが若干汗ばんだ顔で駆け寄ってくる。なんかして遊ぶ、という曖昧な要求に対する回答を考えてみたが、パッと思いつくものがない。「鬼ごっこするか?」と提案するも、「えー、違う遊びがいい!」と我儘を返される。

 

面倒くさいなぁ、という気持ちは口に出さず代替案を検討するも、隠れんぼやサッカーなど普段やっている遊びは、提案したとしても却下されるのがオチである。助けを乞う思いで公園を何となく見渡した。

すると公園脇の家からシャボン玉が飛んでいる事に気づいた。なるほどシャボン玉か。ネットで購入した『特殊なシャボン玉』を開封せず、押し入れに入れたままであることを思い出した。

 

「ちょっと待ってろ」と言って二人を公園に残し、片道数分の道のりを駆け足で移動した。押し入れから箱に入った『特殊なシャボン玉』を取り出すと、急いで開封する。

中には萎んだ状態のシャボン玉と、空気を入れる電動ポンプが同封されていた。シャボン玉と言ってもゴムのような素材で出来た割れないシャボン玉である。シャボン玉のように薄い膜で出来たボールが作れるキットなのだ。

 

ポンプにはシャボン玉へ差し込むための刺し口がついており、クリームのようなものを塗り込んでシャボン玉の奥まで刺し口が届くようにすること、と注意書きが添えられていた。

子供用の保湿クリームを刺し口に塗りつけポンプのスイッチを入れると、電動ノコギリのような騒音をたててポンプが起動した。そのままシャボン玉の穴が空いた部ず部分に差し込んでやる。けたたましい音とは裏腹に、全くシャボン玉が膨らまない。

1分ほど試行錯誤してみたところ、どうやら奥の奥まで刺し口を入れ込まないと空気が上手く入らないことがわかった。グリグリと奥まで差し込んでやると、徐々にシャボン玉が膨らんでくる。そのまましばらく放置をして、50センチを超える巨大なボールを作り上げた。

 

公園へ持っていくと、シャボン玉を見たハルとトモが勢いよく駆け寄ってきた。ハルは「でっか!」と言ってシャボン玉を抱え込み、トモは指でツンツンとつついたり、叩いたりして触り心地を楽しんでいる。

非常に弾力があり、転がすとボヨンボヨンという音をたてながら滑稽な動きを見せる。空に放てば、ブヨブヨと空中で形を変えながらゆっくりと地面へ落下してくる。

気づけは近所の子どもたちと輪になってシャボン玉を投げあう遊びを始めていた。皆、不思議なシャボン玉の動きや大きさに魅了されているようだ。

 

しかしこのシャボン玉、一つ欠点がある。

素材のせいなのか、砂や土がよくくっつくのだ。大きさは手を広げるくらいあるためどうしても抱え込んでしまうが、その時にシャボン玉についた砂が洋服に付いてしまうのである。

 

帰宅したときには、親子の服は砂だらけなのであった。

 


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